時価総額から純現金を引いた「事業そのものの値段」を利益で割った倍率。
投資での見方:現金が厚い会社は、見かけのPERより実質的な倍率が低く出ることがある。
株価倍率(PER)は「利益の何年分の値段がついているか」を測る。しかし会社が多額の現金を抱えている場合、その現金の分まで含めて『会社全体の値段』を利益で割ってしまうと、事業そのものの割高・割安が見えにくくなる。
実質PERは、時価総額から純現金(現金−有利子負債)を差し引いた『事業価値』を利益で割った倍率だ。いわば「会社を買った瞬間に金庫の現金が手に入る」前提で、事業だけにいくら払っているかを測る。
バリュー投資が実質PERを重視するのは、"見かけの倍率" と "事業の実力に対する倍率" のギャップにこそ、市場が見落としている構造が現れるからだ。現金が厚い会社ほど、実質PERは見かけのPERより低く出る。
いまJINGIがカバーする銘柄の中で、この概念が最も顕著に現れている一社が 株式会社はてな(3930)。時価総額28.2億円のうち純現金が21.2億円(75%)を占め、見かけのPER 12.1倍に対し、現金を除いた実質PERは約3.0倍で算出される。
ほかに現金比率が高い例:株式会社マクアケ(現金比率64%・PER 22.9→実質8.2)、BASE株式会社(現金比率63%・PER 20.9→実質7.8)。
選抜は現金比率(純現金÷時価総額)が高い順=この概念が最も見えやすい銘柄で、銘柄の優劣や投資判断を示すものではない。カバー銘柄や決算の更新に応じて自動で入れ替わる。数値は概念の例示である。
実質PERが低いことは、それ自体では割安を意味しない。現金の『質と使途』で意味が変わる——余剰現金なのか、運転資金・借入見合いで実際には動かせない現金なのか。
現金が『働いているか眠っているか』も効く。株主に還元されず低利回りで滞留する現金は、額面ほどの価値を持たないことがある。
事業そのものが縮小・毀損している場合、実質PERの低さは"安いなりの理由(罠)"の裏返しでもある。実質PERは「事業の値段を正しく測る物差し」であって、判断の信号ではない。