ネットキャッシュ

現金から借金を引いた「正味の手元現金」

定義

現金から有利子負債を引いた、正味の手元現金(=実質キャッシュ)。

投資での見方:厚いほど手元の純現金が多いことを表す。マイナスは有利子負債が現金を上回る状態。

この指標はどう活用できる?

会社が「いくら現金を持っているか」だけを見ても、借金と相殺すると手元に残る正味の現金は変わる。ネットキャッシュは、現金・預金から有利子負債(利息のつく借入金・社債)を差し引いた、正味の手元現金だ。

バリュー投資でネットキャッシュを重視するのは、それが下値の「安全域」の手掛かりになるからだ。純現金が厚い会社は、事業が一時的に苦しくても資金繰りに余裕があり、株価が本質価値を大きく割り込みにくい。時価総額の相当部分が純現金という状態は、事業の値段が見かけより小さいこと(実質PERが低く出ること)にもつながる。

逆にネットキャッシュがマイナス(純有利子負債)なら、現金より借金が多く、金利上昇や業績悪化への耐性が下がる。手元現金の「正味」を見るのが出発点になる。

図で見る

まず概念の"型"(例示)、次に実データでの現れ方。図の寸法は入力数値に忠実。
概念図(例) 手元の現金 1.0億円 の中身 ネットキャッシュ 70百万円 有利子負債 30百万円 ネットキャッシュ=現金 − 有利子負債(正味の手元現金) 時価総額に対する純現金の厚み 純現金は時価総額の 35% 厚いほど手元の純現金が多く、下値の安全域の手掛かり(マイナスなら純有利子負債=現金より借金が多い状態)
実データ(株式会社はてな) 手元の現金 21.2億円 の中身 ネットキャッシュ 21.2億円 有利子負債 0百万円 ネットキャッシュ=現金 − 有利子負債(正味の手元現金) 時価総額に対する純現金の厚み 純現金は時価総額の 75% 厚いほど手元の純現金が多く、下値の安全域の手掛かり(マイナスなら純有利子負債=現金より借金が多い状態)

実際の会社のケーススタディ

いまJINGIがカバーする銘柄の中で、この概念が最も顕著に現れている一社が 株式会社はてな(3930)。現金21.2億円から有利子負債0百万円を引いたネットキャッシュは21.2億円で、時価総額の75%に相当する。

ほかに純現金が厚い例:株式会社マクアケ(純現金は時価の64%)、BASE株式会社(純現金は時価の63%)。

選抜は純現金÷時価総額が厚い順=この概念が最も見えやすい銘柄で、銘柄の優劣や投資判断を示すものではない。カバー銘柄や決算の更新に応じて自動で入れ替わる。数値は概念の例示である。

数字を見るときの注意点

現金の「質と使途」で意味が変わる。運転資金として常に必要な現金や、特定目的に紐づく現金は、額面ほど自由に使えないことがある。

現金が厚いこと自体は良し悪しでない。株主に還元されず低利回りで滞留する現金は、資本効率(ROEROIC)を下げている可能性がある——「安全」と「非効率」は表裏。

ネットキャッシュは一時点の残高。増資や社債発行の直後は膨らみ、大型買収や還元で急減することもある。時系列と使途で見る。

関連情報

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情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。実在銘柄は概念の現れ方の例示であり、価値判断ではありません。数値は有価証券報告書(EDINET)の一次データに接地。